【年間160万円のコスト削減】青焼き図面CAD化のメリットと導入事例を紹介

公開日 2025.3.27

「図面の保管や検索に手間がかかって困っている」そんな悩みを抱える方へ。
青焼き図面をCADに置き換えることによって得られる利点と、実際の導入事例について詳しく紹介します。
業務の効率化やコスト削減のヒントがきっと見つかります。
改善の一歩を、今日から始めてみませんか。



はじめに

「古い青焼き図面が大量にあり、必要な図面を探し出すのに時間がかかる」
「図面の保管場所が足りず、管理そのものが負担になっている」
こうした悩みを抱える現場は少なくありません。
図面を扱う業務では、無駄な時間やコストがかかることで作業効率が下がり、本来の業務に集中できなくなるケースも出てきます。

本記事では、青焼き図面をCADに変換することで得られる具体的なメリットを紹介します。
あわせて、実際に導入した企業の事例も取り上げながら、電子化の流れやその効果をわかりやすくお伝えします。

読み終えたときには、図面のデジタル化によって得られる成果が自社にとってどれほど大きなものか、具体的にイメージできるようになるはずです。
まずは、今抱えている課題を見直すことから始めてみましょう。
本記事が、図面の新しい運用スタイルを考えるきっかけになれば幸いです。






青焼き図面をCAD化するメリット

建築や製造の現場では、設計の段階から完成に至るまで、何度も図面の修正や見直しが必要になります。
そのたびに紙の図面を手作業で修正するのは、時間も手間もかかり、業務の負担になってしまいます。

青焼き図面をCADに変換すると、そうした負担を大きく軽減できます。
中でも特に便利なのが、修正や加工がパソコン上で簡単に行える点です。
図面の一部分だけを修正したり、別の図面と比較したりする作業も、スムーズに進められます。

さらに、クラウド上に保存しておけば、社内だけでなく外部の関係者ともリアルタイムで共有できます。
紙のままだと、破れたり汚れたりするだけでなく、紛失するリスクもあります。
データにしておけば、こうしたトラブルからも解放されます。

また、紙の図面を探し出すのに書庫や棚をひっくり返す必要がなくなります。
キーワードやファイル名で検索するだけで、すぐに目的の図面を見つけられるようになります。
保存のために必要だったスペースも不要になります。
これまでかかっていたコピー代や保管にかかる費用の削減にもつながります。



以下の表では、青焼き図面とCAD化後の違いを比較しています。




青焼き図面をCAD化するまでの流れ

青焼き図面をデジタル化して活用するには、いくつかの手順を踏む必要があります。
とはいえ、専門的な知識がなくても進められるため、多くの企業では外部のスキャニング会社に依頼するケースが一般的です。

まず最初に、紙の図面を専用のスキャナーで読み取り、画像データとして取り込む作業を行います。
図面が古くなっている場合は、折れ目や破れなどがあることも多いため、丁寧な取り扱いが求められます。

スキャンされた図面は、通常PDFやTIFFなどの形式で保存されます。
この段階で一時保管用データとして活用されるケースもあります。

次に、取り込んだ画像をもとにCADデータを作成する工程に移ります。
この作業では、「トレース」と呼ばれる手法を使い、専門の技術者が線や寸法を正確にデジタル化していきます。
これによって、編集可能な図面として再利用できるようになります。

CAD化が完了したら、原図との照合を行い、内容に誤りがないかを細かくチェックします。
文字の読み違いや寸法の誤差が発生しやすいため、図面とCADの両方を並べながら、慎重に確認を進めます。

最終的に、CADの代表的なファイル形式(たとえばDWGやDXFなど)で納品されます。
納品されたデータは、社内の図面管理システムに登録したり、クラウド上にアップロードして関係者と共有したりすることで、すぐに実務に活用できます。

このように、スキャニングからトレース、チェック、納品という一連の流れを経て、紙の図面が扱いやすいデジタルデータへと生まれ変わります。






青焼き図面CAD化の導入事例

青焼き図面のCAD化は、多くの企業で業務効率を高める手段として注目されています。
特に建築や製造、金融の現場では、過去の図面を頻繁に扱うため、紙のままだと探すのに時間がかかり、作業が滞る場面も見られます。
ここでは実際の導入事例から、その効果を具体的に見ていきます。


【A社(建築)】図面を探す時間が省け、1年で約160時間の時間短縮

A社では、建築に関する図面をすべて紙で保管していました。
特に古い青焼き図面は、分類もされずに倉庫の棚に積み上げられたままの状態でした。
そのため、設計の見直しや工事内容を確認する必要があるたびに、担当者が大量の図面の中から目的のものを探し出さなければならず、毎回多くの時間を費やしていました。
1枚の図面を探すだけでも30分以上かかることがあり、図面を探す作業が業務の大きな負担になっていたのです。

この状況を改善するため、A社は青焼き図面をすべてスキャンし、CADに置き換える取り組みを始めました。
まずは高精度のスキャナーで紙図面を読み取り、画像データとして保存しました。
続いて、専門のトレース作業によって、図面を編集可能なデジタルデータへと変換していきました。

完成したCADデータはクラウド上で一元管理され、図面の種類や案件名などのキーワードで検索できる仕組みが整いました。
この導入により、図面を探すのにかかっていた時間を年間でおよそ160時間も削減できたそうです。
必要な図面をすぐに見つけられるようになったことで、設計や顧客対応に集中できる時間が増え、業務全体の効率が上がりました。

加えて、紙の図面で起きがちだった破損や汚れ、紛失といったトラブルも解消され、資料の保存状態も大きく改善されました。
今では、過去の設計図面も重要な資産として社内で有効に活用されています。


【B社(金融)】:書庫室が不要になり、年間約160万円の経費削減

B社では、融資関連の書類や不動産に関する資料など、大量の青焼き図面を紙のまま保管していました。
これらの図面は機密性が高く、一定期間の保管義務があるため、社内に専用の書庫室を設けて管理していたのです。

しかし、年々資料の量が増え続けた結果、保管スペースが限界に達し、図面を探すだけでも時間がかかるようになっていました。
作業効率は低下し、業務のスピードにも悪影響を及ぼすようになっていたのです。

このような状況を受けて、B社は図面のスキャニングとCAD化に踏み切りました。
すべての青焼き図面を専用スキャナーで読み取り、画像データに変換した後、トレース作業によってCADデータへと仕上げていきました。

完成した図面はクラウド上で一括管理され、どこからでも素早くアクセスできる環境が整いました。
これによって、書庫室そのものが不要となり、保管スペースの賃料や空調設備の維持費、書類整理にかかっていた人件費などが一気に削減されました。

年間で削減できた経費はおよそ160万円にのぼります。
紙で出力する手間もなくなったことで、業務全体のスピードが向上し、担当者の負担も軽くなりました。

さらに、火災や水漏れなどによって図面が失われるリスクもなくなり、重要な資料を安全に長期保存できる仕組みが確立されました。
今では部署をまたいだ図面の共有もスムーズに行えるようになり、社内全体の連携力が格段に上がったといいます。


【C社(製造)】:図面検索業務の属人化解消

C社では、長年にわたり製造工程で使われる部品図や作業手順書などを、紙の青焼き図面で管理していました。
図面の量は非常に多く、どこに何が保管されているのかを把握しているのは、一部のベテラン社員だけという状況でした。

このように、特定の社員にしか業務が回せない「属人化」が進んでいたため、誰かが不在になると図面を探し出すのが困難になり、業務の効率が大きく下がっていました。
こうした課題を解決するため、C社では図面の電子化とCADデータへの移行を決断しました。
まずは青焼き図面をスキャンして画像データとして保存。
次に、製造に関わる重要な図面を優先して、トレース作業によってCAD形式へ変換していきました。

デジタル化された図面は、社内の共有フォルダやクラウド環境に整理して保存されています。
部品番号やキーワードを入力するだけで、目的の図面がすぐに表示できる仕組みになりました。
これによって、特定の担当者でなくても図面を取り出せるようになり、業務の属人化が解消されました。

また、設計の変更があった際も、CAD上で直接修正や履歴の管理が行えるようになったため、作業の正確さやスピードも向上しました。
社内の誰もが同じ情報をもとに判断・作業できる体制が整い、業務の再現性と効率が大きく改善されています。






まとめ

青焼き図面をCADに変換することで得られる最大のメリットは、業務の効率化とコスト削減を同時に実現できる点にあります。
図面を探す時間の短縮や保管スペースの圧縮、関係者との情報共有のしやすさなど、さまざまな面で具体的な効果が期待できます。
紙図面を使っていた時代にはなかったスピード感や柔軟な対応力を手に入れられるのも、CAD化の大きな魅力です。

さらに重要なのが、属人化の解消や情報の一元管理が進むことです。
どの社員でも必要な図面にすばやくアクセスできるようになることで、組織全体の業務効率や作業の正確さが向上します。

図面の管理に関して何らかの課題を感じている企業にとって、CADへの移行は現実的かつ効果的な改善策になるはずです。
今ある業務のやり方を見直すきっかけとして、図面のデジタル化に取り組んでみてはいかがでしょうか。


メトロ設計では、専門のスタッフが丁寧に対応し、最適な解決策をご提案いたしますのでお気軽にお問い合わせください。



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