BIM/CIMで既存インフラが複雑な現場に対応するには|再開発で手戻りを減らす進め方

公開日 2026.3.26

はじめに

駅前再開発や無電柱化を伴う道路再整備、木造密集地域の防災対策では、地下埋設物が複雑に入り組む現場が多く見られます。
上下水道や通信管路、電力管路が重なり、図面だけでは地下の状況を把握しにくくなります。
設計の途中で埋設物が判明し、設計変更や関係機関との協議が長引く場面も少なくありません。
解決策の一つとして、BIM/CIMによる既存インフラの三次元化に注目が集まっています。
関係者の認識を早い段階でそろえることが、再開発や道路再整備を円滑に進めるうえで重要です。




BIM/CIMが既存インフラ案件で求められる理由

新設中心の計画とは異なり、既存インフラが複雑に重なる案件では、地下の状況を正確に把握する作業が設計検討の出発点になります。
上下水道や通信、電力など複数のインフラ管理者との調整も必要となるため、現況把握と関係者の合意形成が設計の成否を左右します。



図面だけでは見落としが起きる理由

既存インフラが集中する市街地では、地下の状況を平面図だけで正確に把握することが難しくなります。
上下水道や通信管路、電力管路は管理者ごとに台帳や既存図が保管されており、更新時期や作成方法の違いによって位置や深さにずれが生じる場合もあります。
舗装更新や埋設替えなどの工事履歴が十分に反映されていない例も少なくありません。
平面図では高さ関係や離隔距離を直感的に把握しにくく、支障物の見落としが生じる可能性があります。
施工段階で埋設物が判明すると設計変更や再協議が必要となり、工程への影響も大きくなります。
台帳・既存図・現地条件の差を整理する作業に加え、既存インフラの位置関係を三次元で確認する取り組みが欠かせません。



3Dで共有する意味

既存インフラが複雑に入り組む再開発や道路整備では、関係者ごとに図面の理解に差が生まれます。
設計者は計画内容を確認し、施工者は施工手順を想定しながら検討を進める立場です。
発注者や占用者は安全性や維持管理の観点から内容を確認する役割を担い、重視する情報にも違いが見られます。
平面図や断面図だけでは空間的な位置関係を直感的に把握しにくく、認識のずれが協議の長期化につながる可能性があります。
BIM/CIMで既存インフラや計画構造物を三次元化すると、地下空間の状況を立体的に確認できます。
設計者・施工者・発注者・占用者が同じモデルを見ながら議論できるため、関係者の認識をそろえやすい点が三次元共有の大きな利点です。








既存地下インフラを整理するために必要な情報

BIM/CIMを用いる前提として、上下水道・電力・通信などの台帳、既存図、測量成果を整理し、位置や高さの関係を確認する必要があります。
複数の資料を重ねて地下空間の状況を把握する作業と、三次元モデル化に必要な情報の整理が重要です。



既存資料の集め方

既存地下インフラを整理するには、道路管理者や各インフラ事業者が保有する資料を幅広く収集します。
道路台帳や占用台帳は、地下空間を把握するための基礎資料です。
また、上下水道、ガス、電力、通信などの事業者は、それぞれ独自の図面や管理台帳を保管しています。
設計段階では、資料を個別に確認するだけでなく、道路台帳・占用台帳・各インフラ図面を集約して整理することが重要です。
資料ごとに縮尺や更新時期が異なるため、測量成果や現地調査の結果も重ね合わせて確認する必要があります。
複数資料を比較しながら位置や深さの関係を確かめることで、地下インフラの状況をより正確に整理しやすくなります。



現況調査で確認したいこと

既存資料だけで地下インフラの状況を正確に把握することは難しい場合があります。
図面の作成年や更新状況によって実際の位置や深さに差が生じる可能性もあり、地下空間の状況は資料だけでは判断しきれません。
現況調査では、試掘や地中レーダー探査を用いて埋設物の位置や深さを確認します。
現地踏査では、マンホールやハンドホール、地上設備の配置、周辺の占用状況なども整理する必要があります。
図面情報と現地調査の結果を照合することで、地下インフラの実態が見えやすくなります。
図面と現況の差を早い段階で確認する視点が、設計変更や施工段階のトラブル防止につながります。




BIM/CIMで進める現況把握と干渉確認

収集した既存インフラ情報はBIM/CIM上で整理し、位置や高さの関係を確認します。
三次元モデル上で支障物や離隔条件を立体的に確かめることで、設計や施工に影響する条件を早い段階で把握しやすくなります。



地下埋設物を3D化する進め方

地下埋設物を三次元で整理するには、既存資料と現況調査の結果を組み合わせて情報をまとめます。
道路台帳や占用台帳、上下水道・ガス・電力・通信などの図面を確認し、位置や深さの関係を整理します。
資料ごとに縮尺や更新時期が異なる場合もあるため、測量成果や座標情報を基に位置関係を調整する作業が必要です。
整理した情報はBIM/CIMに取り込み、管路や設備を三次元モデルとして配置します。
地下空間を立体的に整理すると、埋設物の位置関係を把握しやすくなります。
既存資料と調査結果を重ねて地下埋設物を三次元化することで、干渉確認や施工計画の検討も進めやすくなります。


離隔と干渉の確認方法

地下インフラと構造物の関係を確認するには、管路や設備の位置を三次元モデル上で整理します。
具体的には、上下水道や通信管路、電力設備などの埋設物と、道路構造物や基礎の位置関係を重ねて確認する作業が重要です。

平面図では把握しにくい高さや離隔距離も、三次元モデル上では立体的に確認できます。
BIM/CIMでは、管路、躯体、基礎、仮設構造物などを同一モデル上に配置し、位置関係を比較します。
構造物と地下インフラの離隔距離を確認することで、支障条件の整理が進みます。
施工スペースや仮設設備の配置も同時に検討すると、施工時に想定される制約や干渉の可能性を早い段階で把握しやすくなります。



設計変更を減らす検討の順番

設計変更を減らすには、計画初期の段階で確認する事項の順序を整理する必要があります。
地下インフラが複雑な現場では、後工程で支障条件が判明すると、設計変更や関係機関との再協議が発生する可能性があります。
早い段階で確認項目を整理することが、手戻り防止のポイントです。
BIM/CIMを用いた検討では、まず既存インフラの位置や深さを整理します。
続いて構造物や基礎の配置を重ね、離隔距離や支障条件を確認します。
地下インフラと構造物の位置関係を初期段階で確かめる作業が、設計変更の抑制につながります。
確認の順序を整理して検討を進めることが、計画を円滑に進めるポイントです。








合意形成が難しい案件でBIM/CIMをどう生かすか

既存インフラが関係する案件では、技術的な整理だけでなく、関係者の理解をそろえることも求められます。
BIM/CIMで地下構造物や計画施設を三次元モデルとして整理すると、位置関係や影響範囲を直感的に共有しやすくなり、合意形成を進めやすくなります。



発注者への説明で役立つ場面

発注者への説明では、平面図や断面図だけでは支障条件や施工制約が伝わりにくい場面があります。
地下埋設物や構造物の位置関係が複雑な場合、図面だけでは空間的な位置関係を直感的に理解しにくくなります。
BIM/CIMを用いて地下インフラや計画構造物を三次元で整理すると、離隔距離や干渉状況を立体的に確認できます。
支障条件や施工上の制約を視覚的に共有できる点も利点です。
設計変更の必要性や代替案の考え方も、三次元モデルを用いることで説明しやすくなります。
複数案を比較する場面でも、配置や影響範囲を同じ視点で確認できるため、判断に必要な情報を整理しやすくなります。
三次元モデルによる説明は、発注者の理解を深め、合意形成を進める有効な手段です。



占用者や関係機関との協議の進め方

占用者や関係機関との協議では、既存インフラの移設や切り回しの必要性を整理し、施工への影響を共有することが求められます。

地下埋設物が多い現場では、管路や設備の位置関係によって施工手順や仮設計画に制約が生じる場合があります。
BIM/CIMを用いると、既存インフラと計画構造物の位置関係を三次元で確認できます。
移設の必要性や施工順序を視覚的に伝えやすい点も大きな利点です。
施工段階ごとの状況をモデル上で整理すると、影響範囲や作業条件を把握しやすくなります。
関係機関との協議では、代替案や施工方法の違いを同じモデルで比較できることも役立ちます。
三次元モデルによる情報共有は、占用者や関係機関との協議を円滑に進める有効な方法といえます。




既存インフラ案件で失敗しないBIM/CIM活用のポイント

既存インフラ案件では、BIM/CIMのモデル作成そのものを目的にしない姿勢が重要です。
設計判断や関係者との調整に役立ててこそ、BIM/CIMは実務で意味を持つ手法になります。



更新ルールを決めておく

既存インフラ案件でBIM/CIMを用いる場合、モデルの更新ルールを事前に整理しておくことが欠かせません。
調査結果や協議内容、設計変更などの情報は、業務の進行に合わせて追加や修正が発生します。
BIM/CIMを実務で使うには、情報の更新担当者や更新時期を整理しておくことが必要です。
調査で確認された埋設物の位置や深さ、関係機関との協議結果、設計変更の内容などをモデルへ反映します。
更新手順や担当範囲を決めておくことが、モデルの信頼性を保つポイントです。
情報管理のルールを共有することが、設計判断や関係者調整に役立つモデル運用につながります。



設計と施工の間で情報を切らさない

既存インフラ案件では、設計段階で整理した情報を施工段階へ確実につなぐことが大切です。
地下埋設物の位置や深さ、関係機関との協議結果などの情報は、施工計画や仮設計画にも影響します。
BIM/CIMを用いると、設計段階で整理した既存インフラ情報を三次元モデルとして管理できます。
設計で整理した情報を施工段階でも同じモデルで確認できる点が大きな利点です。
施工計画の検討や作業手順の整理にも役立ちます。
設計と施工の間で情報を切らさないことが、再確認や重複作業の削減につながります。
継続的に使えるモデル運用が、既存インフラ案件を円滑に進める基盤です。




BIM/CIMで既存インフラ案件を前に進めるには

既存地下インフラが複雑に入り組む案件では、図面だけで判断すると手戻りや協議の長期化が起こりやすくなります。
BIM/CIMを用い、現況把握や干渉確認、関係機関との合意形成を早い段階から進めることが、事業を円滑に進めるうえで重要です。
駅前再開発や道路再整備、無電柱化を含む案件では、既存インフラの整理や関係機関との協議対応が、検討を進めるうえでのポイントになります。
駅前再開発や道路再整備、無電柱化を含む案件で具体的な検討が必要な場合は、メトロ設計株式会社のサイトを参照のうえ、ご相談ください。



もし現在、
・地下埋設物の情報が整理しきれていない
・干渉や離隔の検討で手戻りが発生している
・発注者や占用者との協議が長期化している
といった状況があれば、計画初期の整理が重要なポイントになります。

メトロ設計では、既存インフラの現況整理からBIM/CIMを活用した干渉確認、関係機関との合意形成に向けた資料作成まで一貫して対応可能です。

豊富な実績を持つ弊社の専門スタッフが、貴社のプロジェクトを技術面から強力にサポートいたします。
まずは、現在抱えられている課題をメトロ設計までお気軽にお聞かせください。





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暮らしに密着した社会資本を整備する、専門家集団です。
わたしたちは60年に渡り、社会資本の施工事業者のパートナーとして現地調査・計画・設計等に専心してまいりました。
長年の知識を生かしたマネジメントで、住民の方と施工事業者との架け橋となるような、建設コンサルタントを目指しています。
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