下水道管の老朽化とは?道路陥没が起きる原因・調査方法・対策を解説

公開日 2026.6.27

はじめに

「下水道管の老朽化は、どのようなリスクにつながるのか?」
「道路陥没は、なぜ下水道管の劣化によって起こるのか?」
「点検や調査では、どのようなことを確認すればよいのか?」

近年、道路陥没などの事故をきっかけに、下水道管の老朽化への関心が高まっています。下水道管は、私たちの生活や都市活動を支える重要なインフラです。しかし、多くは道路の下など地中に埋設されているため、普段の生活の中で状態を確認することはできません。

地上からは問題が見えにくくても、管路内部ではひび割れや腐食、接合部のずれ、土砂の流入などが少しずつ進行している場合があります。こうした劣化を放置すると、地下空洞化や道路陥没、排水機能の低下などにつながる可能性があります。

今後は、下水道管の状態を適切に把握し、リスクに応じて点検・調査、補修、改築、更新を計画的に進めることが重要です。

本記事では、下水道管の老朽化が社会課題となっている背景や、老朽化によって起こる主なリスク、調査方法、対策の考え方について解説します。




目次
  1. 日本で起きている道路陥没事故との関係
  2. 下水道管の老朽化が社会課題となっている背景
    1. 高度経済成長期以降に整備された管路が更新時期を迎えている
    2. 下水道管の標準耐用年数は50年が目安
    3. 限られた予算と人員で優先順位をつける必要がある
  3. 老朽化した下水道管が引き起こす主なリスク
    1. 道路陥没や地下空洞化
    2. 漏水や不明水の流入
    3. 生活・事業活動への影響
  4. 下水道管が老朽化する主な原因
    1. 経年劣化によるひび割れ・破損
    2. 硫化水素などによる腐食
    3. 交通荷重や地盤変動、周辺工事の影響
  5. 下水道管の点検・調査では何を確認するのか
    1. 管路の基礎情報と補修履歴を整理する
    2. テレビカメラ調査・管内調査
    3. マンホールや取付管を含めた確認
    4. 必要に応じて地上・地下の情報を組み合わせる
  6. 老朽化対策では「どこから着手するか」が重要
    1. 点検・調査結果をもとにリスクを評価する
    2. 補修・改築・更新を使い分ける
    3. ストックマネジメントの考え方で計画を立てる
  7. 設計・更新計画の初期段階で確認しておきたいポイント
    1. 既存資料と現地条件の差異を確認する
    2. 周辺の埋設物や施工条件も把握する
    3. 調査結果を更新計画・設計判断につなげる
  8. まとめ|早期の状態把握と計画的な更新が重要
    1. 実際に当社で工期短縮を行った事例をご覧いただけます

日本で起きている道路陥没事故との関係

実際に、日本国内でも下水道管の老朽化や破損が道路陥没につながったとみられる事故が発生しています。

たとえば、2025年1月には埼玉県八潮市で大規模な道路陥没事故が発生し、トラックが陥没した穴に転落しました。報道では、下水道管の腐食や破損、周辺地盤の空洞化が事故と関連して指摘されており、救助活動や復旧作業の長期化、周辺地域での下水使用制限など、生活や事業活動にも大きな影響が及びました。

このような事故は、下水道管の老朽化が「古くなった管を交換する」という設備更新の問題にとどまらないことを示しています。地中で進行する劣化は、普段は見えにくい一方で、ひとたび道路陥没や排水機能の低下として表面化すると、交通、地域生活、事業活動に広く影響する可能性があります。

だからこそ、下水道管の老朽化対策では、事故が起きてから対応するのではなく、早い段階で管路の状態を把握し、リスクに応じて優先順位をつけながら計画的に点検・調査・更新を進めることが重要です。




下水道管の老朽化が社会課題となっている背景

下水道管の老朽化が問題となっている背景には、高度経済成長期以降に整備された管路が、更新時期を迎えつつあることがあります。

下水道管は地中に埋設されているため、橋梁や道路舗装のように目視で状態を確認しにくいインフラです。そのため、劣化が進んでいても気づきにくく、事故や不具合が発生してから問題が表面化するケースもあります。

一方で、すべての管路を一斉に更新することは現実的ではありません。限られた予算や人員のなかで、どこから点検し、どの管路を優先的に補修・更新するのかを判断する必要があります。



高度経済成長期以降に整備された管路が更新時期を迎えている

下水道管は、都市機能を支える重要なインフラです。家庭や事業所から出る汚水を処理場まで運び、雨水を排除することで、衛生的で安全な都市環境を保っています。

日本では、高度経済成長期以降、都市化の進展とともに下水道整備が進められてきました。その時期に整備された管路の多くが、現在、長期間の使用を経て老朽化しつつあります。

下水道管の老朽化は、単に「古くなった管を交換する」という話にとどまりません。道路、住宅、商業施設、鉄道、地下構造物、ほかのライフラインなど、都市のさまざまな機能と関係しています。

下水道管が破損した場合、排水機能の低下だけでなく、道路陥没や交通規制、周辺施設への影響など、地域全体に影響が及ぶ可能性があります。そのため、今後は老朽化した管路を把握し、計画的に維持管理していくことがますます重要になります。



下水道管の標準耐用年数は50年が目安

下水道管の標準耐用年数は、一般的に50年がひとつの目安とされています。

ただし、標準耐用年数はあくまで管理や更新を検討するための目安です。50年を超えたからすぐに使用できなくなるわけではなく、反対に50年に満たない管路でも、環境条件によっては劣化が進んでいる場合があります。

実際の劣化状況は、管の材質、敷設された地盤の状態、交通量や車両荷重、地下水や土壌の条件、管内の腐食環境、周辺工事や地震などの影響、過去の補修履歴などによって異なります。

そのため、年数だけで健全性を判断するのではなく、管路の状態を調査し、異常の有無や劣化の進行度を確認することが重要です。



限られた予算と人員で優先順位をつける必要がある

下水道管の老朽化対策では、すべての管路を同時に更新することは困難です。対象となる管路の延長は長く、更新には多くの費用と時間がかかります。また、工事を行う際には交通規制や周辺住民・事業者への影響も考慮しなければなりません。

そのため、対策を進める際には、管路ごとにリスクを評価し、優先順位をつけることが重要です。

たとえば、同じように劣化が見られる管路でも、交通量の多い幹線道路の下にある管路と、交通量の少ない道路下の管路では、事故が発生した場合の影響度が異なります。また、病院、学校、公共施設、駅周辺、再開発エリアなど、重要施設に近い場所では、より慎重な判断が求められます。

点検・調査によって状態を把握し、事故発生時の影響度や緊急性を踏まえながら、補修・改築・更新の順番を整理することが必要です。








老朽化した下水道管が引き起こす主なリスク

老朽化した下水道管を放置すると、さまざまなリスクが発生します。

代表的なものが、道路陥没や地下空洞化です。そのほかにも、漏水、不明水の流入、排水機能の低下、処理施設への負荷増加などが起こる可能性があります。

下水道管は地中にあるため、問題が起きてもすぐには見えません。しかし、管路の破損や腐食が進むと、地盤や道路、周辺施設にも影響が広がることがあります。



道路陥没や地下空洞化

下水道管の老朽化によるリスクとして、特に注意が必要なのが道路陥没です。

下水道管にひび割れや破損が生じると、その箇所から周辺の土砂が管内へ流れ込むことがあります。土砂が少しずつ流出すると、管の周囲に空洞ができます。

この空洞が小さいうちは、地上から異常が見えない場合もあります。しかし、空洞が広がると、道路の舗装や路盤を支えきれなくなり、最終的に道路表面が沈下・陥没する可能性があります。

道路陥没が発生すると、車両や歩行者の安全に関わるだけでなく、交通規制、緊急工事、周辺施設への影響なども生じます。規模によっては、地域の生活や事業活動に大きな支障が出ることもあります。

下水道管の劣化は地中で進行するため、陥没が起きてから対応するのではなく、早い段階で異常を把握することが重要です。



漏水や不明水の流入

老朽化した下水道管では、破損箇所や接合部のずれから、雨水や地下水が管内へ流れ込むことがあります。これを不明水と呼ぶことがあります。

不明水が増えると、本来処理すべき汚水以外の水が管路や処理施設へ流入し、施設全体に負荷がかかります。特に豪雨時には、管路内の水量が増え、排水能力の低下や逆流のリスクにつながる可能性があります。

また、破損箇所から汚水が漏れ出すと、周辺地盤や地下水環境への影響も懸念されます。下水道管の異常は、管路単体の問題ではなく、周辺環境や都市機能にも関わる問題です。

そのため、ひび割れや接合部のずれ、浸入水の有無などを調査し、異常の程度に応じて補修や更新を検討する必要があります。



生活・事業活動への影響

下水道管の老朽化による影響は、道路や管路の問題だけにとどまりません。排水機能が低下すると、住宅、店舗、事業所、公共施設など、地域の生活や事業活動にも影響が及ぶ可能性があります。

たとえば、下水道管の破損や詰まりによって排水設備の使用が制限されると、日常生活に支障が出ます。道路陥没が発生すれば、通行止めや迂回、周辺工事が必要になり、物流や店舗営業にも影響が出るでしょう。

また、復旧工事を行う場合には、道路の掘削、交通規制、騒音、振動、工期調整など、周辺環境への配慮も必要です。

下水道は、普段は意識されにくいインフラですが、機能が低下すると地域全体への影響が大きい設備です。だからこそ、日常的な維持管理と計画的な更新が重要になります。




下水道管が老朽化する主な原因

下水道管の劣化は、単純な経年変化だけで進むものではありません。

長期間の使用による材質の劣化に加えて、腐食、地盤変動、交通荷重、周辺工事、地震など、複数の要因が重なって進行します。

原因を正しく把握することで、どのような調査が必要か、どのような対策を検討すべきかが見えやすくなります。



経年劣化によるひび割れ・破損

下水道管は、長期間使用されるなかで少しずつ劣化していきます。管材そのものの劣化に加え、継ぎ目や接合部のずれ、管路のたるみ、変形、破損などが発生することがあります。

特に、古い時期に整備された管路では、現在の設計基準や施工条件とは異なる環境で敷設されている場合もあります。長年の使用により、周辺地盤の変化や荷重の影響を受け、管路の状態が変化していることもあります。

ひび割れや破損が進行すると、そこから土砂が流入したり、水が漏れたりする原因になります。見た目には道路上に異常がなくても、管内では劣化が進んでいるケースがあるため、定期的な点検・調査が必要です。

 

硫化水素などによる腐食

下水道管の内部では、条件によって腐食が進行することがあります。特に注意が必要なのが、硫化水素などによる腐食です。

下水道管内では、流量や勾配、換気状態、汚水の性状などによって、腐食が進みやすい環境が生じることがあります。コンクリート管では、内部の腐食が進むと管厚が減少し、ひび割れや破損につながる可能性があります。

腐食は、地上から確認することが難しいため、管内調査によって状態を確認することが重要です。特に、過去に異臭や腐食の兆候があった箇所、流れが滞留しやすい箇所、圧送管の吐出先などは、重点的な確認が必要になる場合があります。



交通荷重や地盤変動、周辺工事の影響

下水道管は、道路下に埋設されていることが多く、車両通行による荷重の影響を受けます。大型車両の通行が多い道路では、地盤や舗装を通じて管路に負荷がかかることがあります。

また、地震、地盤沈下、地下水位の変化、周辺工事なども管路に影響を与える要因です。近隣で掘削工事や再開発が行われる場合、既存管路の位置や状態を正確に把握していないと、施工時のトラブルや手戻りにつながることがあります。

道路下には、下水道管だけでなく、水道管、ガス管、電力、通信など複数の埋設物が存在しています。そのため、下水道管の老朽化対策では、管路そのものの状態だけでなく、周辺の埋設状況や施工条件も含めて把握することが重要です。








下水道管の点検・調査では何を確認するのか

下水道管の老朽化対策の出発点は、施設の状態を正しく把握することです。

そのためには、台帳情報や補修履歴などの資料確認に加えて、現地状況、管内の異常、マンホールや取付管の状態、周辺条件などを組み合わせて確認する必要があります。

点検・調査によって得られた情報は、補修や更新の優先順位を判断するための基礎資料になります。



管路の基礎情報と補修履歴を整理する

点検・調査を行う前に、まず管路の基礎情報を整理します。

確認する主な項目には、敷設時期、管の材質、口径、管路の位置、土被り、勾配、補修履歴、過去の事故や異常の有無、道路状況、周辺施設、事故発生時の影響度などがあります。

台帳情報は、維持管理や更新計画を立てるうえで重要な資料です。ただし、古い台帳の場合、現在の埋設状況や現地条件と差異があることもあります。

そのため、資料だけで判断するのではなく、必要に応じて現地確認を行い、台帳情報と実際の状況にずれがないかを確認することが大切です。



テレビカメラ調査・管内調査

下水道管の状態を確認する方法のひとつに、テレビカメラ調査があります。

テレビカメラ調査では、管内にカメラを挿入し、内部の状態を確認します。道路を大きく掘削せずに管内を確認できるため、老朽化の状況を把握するうえで有効な調査方法です。

調査では、ひび割れ、腐食、破損、継ぎ手や接合部のずれ、管路のたるみ、木の根の侵入、土砂の流入、浸入水、堆積物や閉塞の有無などを確認します。

調査結果は、映像や写真、記録表として整理されます。異常の種類や程度を把握することで、補修で対応できるのか、改築や更新が必要なのかを検討しやすくなります。



マンホールや取付管を含めた確認

道路陥没や排水不良の原因は、本管だけに限られるわけではありません。マンホール、取付管、接合部などの異常が原因となる場合もあります。

取付管とは、宅地や建物からの排水を本管へ接続する管のことです。取付管の破損や接合部のずれによって土砂が流入すると、周辺地盤に空洞が生じる可能性があります。

また、マンホールの劣化や周辺部の沈下、蓋のがたつき、内部の腐食なども確認が必要です。

下水道管の点検・調査では、本管だけを見て終わるのではなく、管路全体を一体として確認することが重要です。本管、取付管、マンホール、接合部を含めて状態を把握することで、事故リスクをより正確に評価できます。



必要に応じて地上・地下の情報を組み合わせる

下水道管の老朽化対策では、管内の状態だけでなく、地上や地下の情報も組み合わせて判断することが重要です。

たとえば、路面に沈下やひび割れ、段差などの変状が見られる場合、その下で空洞化が進んでいる可能性があります。また、周辺にほかの埋設物がある場合、補修や更新工事の方法、施工スペース、交通規制の範囲にも影響します。

路面の変状、地下空洞の可能性、周辺の埋設物、地盤や地下水の状況、道路幅員や交通量、近隣施設への影響、施工時の規制条件などを確認しながら、複数の情報を組み合わせて判断します。

管内調査、現地調査、台帳情報、周辺埋設物情報を組み合わせることで、より現実的な補修・更新計画につなげることができます。




老朽化対策では「どこから着手するか」が重要

下水道管の老朽化対策では、点検や調査を行うだけでは十分ではありません。

重要なのは、得られた情報をもとにリスクを評価し、どこから対策を進めるべきかを判断することです。

限られた予算や人員のなかで効果的に対策を進めるためには、事故が発生する可能性と、発生した場合の影響度を踏まえて優先順位をつける必要があります。



点検・調査結果をもとにリスクを評価する

点検・調査で異常が見つかった場合、その異常がどの程度のリスクを持つのかを評価します。

リスク評価では、劣化の程度だけでなく、事故が発生した場合の影響も考慮します。交通量の多い道路、バス路線や緊急輸送道路、駅周辺や商業施設周辺、学校・病院・公共施設の周辺、過去に異常が見つかった箇所、再開発や道路工事が予定されているエリア、豪雨や地震の影響を受けやすい地域などは、優先度が高くなる可能性があります。

同じ劣化状態であっても、場所や周辺条件によって優先順位は変わります。管路の健全性と社会的影響の両方を見ながら、対策の順番を整理することが重要です。



補修・改築・更新を使い分ける

下水道管の老朽化対策には、補修、改築、更新など複数の方法があります。

軽微なひび割れや部分的な損傷であれば、補修によって対応できる場合があります。一方で、劣化が進行している場合や、管路全体の機能低下が見られる場合には、改築や更新を検討する必要があります。

対策を選ぶ際には、損傷の程度、緊急性、事故発生時の影響度、予算、工期、交通規制の必要性、周辺施設への影響、ほかの工事との調整などを踏まえて判断します。

下水道管の老朽化対策では、単に古い管を新しくするだけでなく、現場条件に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。過剰な対策にならないようにしながら、必要な安全性と機能を確保する視点が求められます。



ストックマネジメントの考え方で計画を立てる

下水道管の老朽化対策では、ストックマネジメントの考え方が重要です。

ストックマネジメントとは、施設全体の状態を把握し、リスクや重要度を踏まえながら、点検・調査、修繕・改築を計画的に進める考え方です。

大まかな流れは、施設情報の整理、点検・調査による状態把握、劣化状況や影響度をもとにしたリスク評価、管理目標の設定、点検・調査計画、修繕・改築・更新の実施、結果の蓄積と計画の見直しです。

このように、調査して終わりではなく、調査結果を次の計画や設計判断に活かすことが重要です。

限られた予算を有効に活用するためにも、管路ごとの状態を継続的に把握し、必要なタイミングで必要な対策を行う仕組みづくりが求められます。








設計・更新計画の初期段階で確認しておきたいポイント

調査結果を実行可能な更新計画や設計へ落とし込むためには、初期段階での情報整理が重要です。

既存資料だけで判断して計画を進めると、現地条件や周辺の埋設状況とのずれによって、後工程で手戻りが発生する可能性があります。

特に道路下には、下水道管以外にも多くのライフラインが埋設されています。そのため、設計や更新計画の初期段階で、現地条件、周辺埋設物、施工条件を整理しておくことが大切です。



既存資料と現地条件の差異を確認する

更新計画や設計を進める際には、まず既存資料と現地条件の差異を確認する必要があります。

古い台帳や図面では、現在の埋設状況と一致していない場合があります。過去の工事や補修、道路改良、周辺開発などによって、管路や周辺埋設物の状況が変わっていることもあります。

資料上では問題がないように見えても、管路の位置が想定と異なる、ほかの埋設物との離隔が不足している、過去の補修履歴が十分に反映されていない、道路幅員や交通条件が変わっている、周辺施設の状況が変化しているといった差異があるかもしれません。

こうした差異を確認せずに計画を進めると、施工段階で支障物が見つかったり、工法の見直しが必要になったりする可能性があります。初期段階で情報を整理することで、後工程の手戻りを減らすことにつながります。



周辺の埋設物や施工条件も把握する

下水道管の補修・更新を検討する際には、対象となる管路だけでなく、周辺の埋設物や施工条件も把握する必要があります。

道路下には、水道管、ガス管、電力、通信、雨水管など、複数のインフラが埋設されています。これらとの位置関係を確認せずに設計を進めると、施工時に干渉が発生する可能性があります。

また、施工条件としては、道路幅員、交通量、交通規制の可否、施工スペース、周辺施設への出入り、夜間施工の必要性、近隣住民や事業者への影響、ほかの工事との調整なども重要です。

特に市街地や駅周辺、商業施設周辺では、施工スペースや交通規制に制約があるため、初期段階から現実的な施工計画を見据えて検討することが必要です。



調査結果を更新計画・設計判断につなげる

下水道管の調査は、実施して終わりではありません。調査結果をどのように整理し、更新計画や設計判断につなげるかが重要です。

たとえば、テレビカメラ調査でひび割れや腐食が見つかった場合、その異常がすぐに補修すべきものなのか、経過観察でよいのか、改築や更新が必要なのかを判断する必要があります。

その際には、劣化状況だけでなく、事故発生時の影響度、施工条件、予算、工期、周辺埋設物との関係なども合わせて検討します。

調査結果を整理し、優先順位を設定したうえで、実行可能な補修・改築・更新計画へ落とし込むことが重要です。調査、計画、設計、施工を分断せず、一連の流れとして捉えることで、より現実的で効果的な老朽化対策につながります。








まとめ|早期の状態把握と計画的な更新が重要

下水道管の老朽化は、道路陥没や地下空洞化、漏水、不明水の流入、排水機能の低下など、さまざまなリスクにつながります。

下水道管は地中に埋設されているため、普段は状態を確認しにくいインフラです。そのため、事故が起きてから対応するのではなく、点検・調査によって早期に状態を把握することが重要です。

また、下水道管の標準耐用年数は50年がひとつの目安とされていますが、実際の劣化状況は、材質、地盤、交通量、腐食環境、周辺工事などによって異なります。年数だけで判断するのではなく、管路ごとの状態や周辺環境を踏まえてリスクを評価する必要があります。

老朽化対策では、すべての管路を一斉に更新することは難しいため、優先順位をつけることが欠かせません。点検・調査結果をもとに、補修、改築、更新を使い分け、限られた予算と人員のなかで計画的に対策を進めることが求められます。

特に、設計や更新計画の初期段階では、既存資料と現地条件の差異、周辺埋設物、施工条件を整理しておくことが重要です。初期段階で必要な情報を把握しておくことで、後工程での手戻りを減らし、より実行可能な計画につなげることができます。

メトロ設計では、上下水道をはじめとするインフラ設計の知見を活かし、現地条件や周辺環境を踏まえた調査・計画・設計をサポートしています。

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暮らしに密着した社会資本を整備する、専門家集団です。
わたしたちは60年に渡り、社会資本の施工事業者のパートナーとして現地調査・計画・設計等に専心してまいりました。
長年の知識を生かしたマネジメントで、住民の方と施工事業者との架け橋となるような、建設コンサルタントを目指しています。
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