【図解あり】BIM/CIMとは?言葉の意味・メリット・活用方法を初心者向けにわかりやすく解説

カテゴリ: BIM/CIM
公開日 2024.2.27
更新日 2024.2.28

建築・土木業界におけるプロジェクトの効率化と品質向上は、関わる案件のスムーズな進行を目指す方々にとって切実な課題です。本記事では、はじめてBIM/CIMに触れる方や詳しい内容を知りたい方に向け、BIM/CIMの基本情報や導入することによって生まれるメリット、具体的な活用シーンについて解説します。 BIM/CIMが建築・土木業界のプロジェクトにどのような影響を与えるのか理解し、自社における業務の効率化、コスト削減、品質向上を実現しましょう。

BIM/CIMとは?まずは言葉の意味について解説

BIM/CIMとは

BIM/CIM(Building Information Modeling / Construction Information Modeling)とは、建築(BIM)と土木(CIM)のプロジェクトにおける情報管理とモデリングの手法を指します。 これは、プロジェクトの各段階での計画、設計、施工、そして維持管理までを通じて、情報の共有と効率化を図ることを目的としています。具体的には、3次元のデジタルツールを用いて構造物のモデルを作成し、これに関連する情報を統合して管理します。 このアプローチにより、建設・土木プロジェクトの品質の向上とコストの削減、さらには作業効率の大幅な改善が可能です。

BIMとは

BIM(Building Information Modeling)とは、建築プロジェクトにおける情報管理とプロセスの最適化を目指す技術です。 従来のCAD(Computer-Aided Design)とは異なり、BIMは建物の3次元モデルにさまざまな情報(材料の種類、コスト、スケジュールなど)を統合することで、設計から施工、維持管理に至るまでの全過程で利用されます。 この多次元的アプローチにより、プロジェクト関係者間での情報共有が容易になり、より正確で効率的な意思決定が可能となります。

CIMとは

CIM(Construction Information Modeling)とは、土木工事プロジェクトに特化した情報管理とモデリングの手法です。 BIMと同様に、CIMもまた3次元モデルを活用し、プロジェクトの効率化を図りますが、主にインフラ(道路、橋梁、ダムなど)の建設において用いられます。 CIMの導入により、土木工事プロジェクトにおける計画の正確性が向上し、施工のシミュレーションを通じて問題点を事前に特定することが可能になります。また、維持管理フェーズにおいても、CIMモデルは貴重な情報源として機能し、インフラの長期的な管理と効率的な更新計画の策定を支援します。

BIMとCIMの違い

BIMとCIMは、どちらも建築や土木の分野における情報管理とモデリングのアプローチですが、対象とする範囲と情報の詳細度において違いがあります。 BIMは建築物に重点を置き、その構造や内部の設備、使用材料などの情報を、CIMは土木工事、特にインフラ関係に適用され、地形や地質などの環境情報も含めた広範なデータを、管理します。

両者は共にプロジェクトの生産性と効率を向上させる目的で使用されますが、その適用範囲と重視する情報の種類において異なります。

引用元:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001590426.pdf

BIM/CIMを導入するメリットとは

BIM/CIMを導入することは、設計から施工、維持管理などさまざまな工程に影響が生まれます。この項目では、導入することによって生まれるメリットについて、具体的な例を挙げながら解説していきます。

メリットその1 生産性の向上に貢献

BIM/CIMを導入することで生まれるメリットの1つとして、プロジェクトの生産性の向上があります。 例えば、設計段階から生産・保守などの工程まで想定することが可能(フロントローディング)なため、後工程での仕様変更や手戻りが減少します。また、複数の作業を同時に進め、開発期間の短縮やコスト削減を図ることが可能です(コンカレントエンジニアリング)。 具体的には、BIMモデルを活用しての施工計画や、3Dでの干渉チェックなどが挙げられます。

これらの手法により、プロジェクトのスケジュール管理がより柔軟に、かつ精密に行えるようになります。

〇フロントローディング

フロントローディングは、プロジェクト初期段階での詳細な検討を意味し、BIM/CIMの導入により、より効率的に行えるようになります。具体的な活用例としては、3Dモデルを使用して、設計段階での干渉チェックやシミュレーションを行うことで、設計ミスの削減や、後工程での手戻りを未然に防ぐというようなことが挙げられます。

引用元:国土交通省  https://www.mlit.go.jp/tec/content/001334811.pdf

〇コンカレントエンジニアリング

コンカレントエンジニアリングは、複数のプロセスを同時に進めることで効率化を図る手法です。BIM/CIMを活用することで、プロジェクト参加者間での情報共有が容易になります。 設計から施工計画、景観検討など、異なる作業を同時に進めることが可能となり、プロジェクトの工期短縮が実現し、生産性の向上に大きく貢献します。

引用元:国土交通省  https://www.mlit.go.jp/tec/content/001334811.pdf

メリットその2 施工関係者間での合意形成と情報共有

BIM/CIMを導入することで、施工関係者間の合意形成と情報共有が容易になります。例えば、BIM/CIMモデルを使用することで、設計意図や施工方法などを関係者が容易に理解できるようになります。

これにより作成された資料は、計画段階での説明会や、施工途中での問題解決において、効果的なコミュニケーションツールとなるでしょう。さらに、変更管理プロセスもデジタル化され、最新の情報が常に共有されるため、迅速な意思決定が可能になります。

シミュレーションが容易に

BIM/CIMの導入により、技術者でなくても構造物のシミュレーションが容易になります。 これにより、設計段階でのコスト削減や、環境要因を考慮した設計ミスの防止が可能となるでしょう。また、シミュレーションを通じて、施工前に潜在的な問題を発見し、解決策を模索するきっかけが得られます。

設計監理のコストダウン

BIM/CIMを活用することで、設計監理のプロセスが大幅に効率化され、管理コストの削減が実現します。データの一元管理により、修正が必要になった際の手間が大幅に削減され、施工段階でのリスク低減や工期の短縮が期待できます。

メリットその3  各段階における可視化 各段階におけるプロセスの迅速化・効率化

BIM/CIMは、設計、施工、維持管理の各段階で活用されます。 それぞれ、設計段階では3Dモデルを用いてビジュアル化されることで、精密な照査や合意形成が容易になります。

施工段階では、施工計画の可視化や安全管理、設計変更時の迅速な対応が可能に、維持管理段階では、構造物の状態把握や補修計画の策定が、非常に効率的に行えます。

BIM/CIMの導入に関する課題とは

BIM/CIMツールの導入は、建築・土木プロジェクトの効率化と品質向上に大きく貢献しますが、適切なシステム選定には課題が伴います。多種多様なツールが存在し、それぞれが特定の機能やフォーマットに特化しているため、自社の具体的なニーズやプロジェクトの特性、関係者との連携を考慮した上での選定が必要です。

特に、設計、施工、維持管理の全プロセスにわたってスムーズにデータを共有し、効率的に作業を進めるためには、一連の工程で互換性のあるツール選びが重要です。この選定プロセスは、単に技術的な側面だけでなく、業務プロセス全体の視点から、適切なDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の一環として捉える必要があります。

また、社内外の多様なステークホルダーとの連携が求められるため、全員がアクセスしやすく、情報共有が容易なシステムを選ぶことが、導入の成功には不可欠です。

BIM/CIMの今後の展望

建築・土木業界は、労働力不足、労働環境の厳しさ、技術継承の問題など、多くの課題に直面しています。BIM/CIMの導入は、これらの課題に対する有効な解決策となるでしょう。

労働力不足の解消

BIM/CIMの導入によって、建築・土木の現場の業務が改善される見込みがあります。具体的には、適切な工期が設定できるようになることで長時間労働や夜間労働の是正、工事書類の負担軽減による仕事の効率化などが期待されています。 従来の3Kのイメージを払拭し、多様な人材を呼び込める可能性があります。

まとめ

この記事では、BIM/CIMについて、意味やメリット、活用方法について詳しく解説しました。課題多き建築・土木業界において、BIM/CIMがいかに重要であるかご理解いただけたでしょうか。 限られた人材でより効率的にプロジェクトを進行させるためには、BIM/CIMをはじめとした業務のDX化が欠かせません。本記事の内容をもとに、ぜひ建築・土木業界の課題を解決するためのBIM/CIMやDX化をご検討ください。

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