電線共同溝(C.C.BOX)とは|施工の流れ・メリットは?無電柱化の手法について詳しく解説

カテゴリ: 電線共同溝
公開日 2024.4.26

電線共同溝とは、電線の設置や管理のために道路の地下に設ける施設のことです。
電柱や電線を地中に移設することで、景観を整えるだけでなく、安全性や機能性を高められます。
この記事では電線共同溝工事の重要性や、無電柱化が都市生活にもたらすメリット、将来の都市環境がどのように変わるかを解説します。

電線共同溝工事に興味がある方、または関連する業務に携わっている方は、ぜひ最後までお読みください。

 

電線共同溝とは

電線共同溝は、電力線や通信ケーブルを一括で収納するための地下構造物です。
電線共同溝により、電線が地上に露出することなく、安全かつ効率的に電力や情報を供給できるようになります。
また「C.C.BOX」と称されることもあり、これは「Concrete Cable Box」の略で、コンクリート製の箱型構造物のことを指します。
複数の電線やケーブルを同時に収納できるため、整備やメンテナンスの効率化が図れるでしょう。
電線共同溝を用いることで地下の狭い空間を最大限に活用し、電線の保護と整理が可能になります。

 

無電柱化に必要な電線共同溝工事

電線共同溝工事は、電線やケーブルを地下に埋設するための溝を作り、そこに電線を収納する工事です。
電線を地下に収納することにより、街並みの景観を損なう電柱や電線が視界に入らず、見た目にもスッキリさせることができます。
主に、街の中心部や住宅地で進められており、電力や通信などのインフラ整備の役割も持っています。
「無電柱化」とは、これらの電線共同溝工事を用いて、道路から電柱を無くす取り組みのことです。
無電柱化により、台風や地震などの自然災害時に電柱が倒れるリスクが減少し、安全な都市環境を実現します。
また、電柱がなくなることで、道路が広く使えるようになり、歩行者や車が通行する際の安全性も向上します。


電線共同溝工事の流れ

電線共同溝の整備には、「電線共同溝の整備等に関する特別措置法(平成 7 年法律第 39 号)」に基づいた法令に従ったフローが設定されています。
この法律は、電線共同溝工事を円滑に進めるためのガイドラインを提示することで、関係各所の協力を促すためのものです。
以下では、電線共同溝工事を大まかに「計画・設計」「ガス・水道などの移設」「電線共同溝工事」「電線・電柱の撤去・歩道舗装工事」という4つの行程に分けて紹介します。

電線共同溝工事の流れ

(1)計画・設計
最初の段階では、綿密に計画と設計が行われます。
事業の目的やスケールを明確にし、具体的な設計図を作成します。
設計図に記されるのは、電線を地下に埋設するための共同溝の位置やサイズ、必要な材料などです。
また、この時点で関係する地方自治体や公共機関との手続きも進められ、工事に必要な許可を得る必要があります。

(2)ガス・水道などの移設
電線共同溝工事を行う前に、重要な準備の作業が複数あります。
その中でも特に重要なのが、既存の埋設物の調査と移設作業です。
まず、工事予定地の下にあるガス管や上下水道管など、各種の埋設物を正確に把握するための詳細な調査を行います。
調査の後、電線共同溝を設置するためのスペースを確保する目的で、必要に応じてガス管や水道管などの移設作業を行います。
公共インフラの中断を最小限に抑えつつ、安全に行われなければなりません。
特に、ガス管や水道管は市民生活に直接影響するため、移設作業には細心の注意を払いましょう。

(3)電線共同溝工事
前準備を経て、電線共同溝工事が始まります。
まず共同溝内に専用のケーブルトレイや保護管を設置し、その中に電力線や通信ケーブルを引き込む作業を行います。
電力線や通信ケーブルを引き込むことで、電線が外部からの物理的な損傷や天候の影響を受けにくくなり、安全かつ安定したインフラを整備できます。
また、ケーブルを引き込む作業には高度な技術が求められ、専門の技術者が精密な作業を行います。
電線を共同溝に正確に配置し、必要に応じて接続や分岐を行うことで、各家庭や施設に電力や情報を供給する基盤が整備されます。

(4)電線・電柱の撤去・歩道舗装工事
電線共同溝工事の最終段階は、不要となった電線や電柱の撤去と、歩道の舗装工事です。
地中に新たな電線が確実に設置され、機能していることを確認した後、既存の電柱や架空電線を安全に撤去します。
撤去作業が完了した後は、歩道や道路の舗装工事を行って工事が完了となります。




電線共同溝の効果

電線共同溝を利用することで、多くのメリットがあります。
ここからは、工事によって得られるメリットを4つに分けて紹介していきます。

・景観整備

無電柱化は、街並みを美しく整備するために非常に有効です。
電線や電柱を地下に移設することにより、視界を遮るものがなくなり、空が広く感じられるようになるでしょう。
特に、歴史的な建造物や自然景観が豊かなエリアでは、無電柱化による景観整備の効果が大きいとされています。
また、清潔感があり整理された街並みは、住民の生活の質を向上させるだけでなく、地域のイメージアップにも繋がります。

・交通の安全性のための道路整備

電柱がなくなると、視界が広がり、歩行者や車両の動きがスムーズになります。
特に狭い道路や歩道では、電柱が障害物となりがちですが、その障害物がなくなることで事故のリスクが減少するでしょう。
また電線が地下に埋設されることで、天候による視界の妨げや電線による事故の心配もなくなり、全体的に交通環境が整うことになります。

・防災対策

無電柱化は、災害時に電柱や架空電線が原因で起こりうる危険を減らすことにも繋がります。
例えば台風や地震が発生した際、電柱が倒れたり電線が切れたりすることで、二次災害が起こる可能性があります。
しかし、電線が地下にある場合、このような二次災害のリスクは大幅に低減されるでしょう。
また、災害時の復旧作業もより迅速に行えるようになり、地域社会の安全と安定を守る上で重要な役割を果たします。

・インフラ確保

光ファイバーなどの通信線を地下に安全かつ確実に敷設することが可能になり、高速で安定した通信のネットワークが構築できます。
インターネットの接続速度の向上や、大量のデータ通信がスムーズに行われるようになるでしょう。
また、天候に左右されることがなくなるため、災害時でも通信が途絶えるリスクを大幅に減少できるとされています。



まとめ

電線共同溝の導入は、無電柱化による景観の向上だけでなく、安全性や機能性の向上にも繋がることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
これからの都市開発においても、電線共同溝のような技術の活用がますます重要になってくるでしょう。
電線共同溝についてお悩みの場合は「メトロ設計」へ問い合わせることをおすすめします。
メトロ設計は、専門知識と技術を持っており、効率的かつ効果的な対策を提供いたします。

 
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わたしたちは60年に渡り、社会資本の施工事業者のパートナーとして現地調査・計画・設計等に専心してまいりました。
長年の知識を生かしたマネジメントで、住民の方と施工事業者との架け橋となるような、建設コンサルタントを目指しています。
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