新たなまちづくり「コンパクトシティ」と官民連携がもたらす効果を解説【富山・熊本の成功事例を紹介】

カテゴリ: まちづくり 地域
公開日 2025.8.28

人口減少やインフラ維持の課題を解決する『コンパクトシティ』。
官民連携の成功事例や無電柱化の効果まで、都市設計の専門家が詳しく解説します。


はじめに

私たちが毎日、あたりまえのように暮らす「まち」。
実はいま、私たちが住む「まち」は人口の減少や財源収入の低下、インフラ維持・管理が困難などの問題に直面しています。
この問題を解決するため、いま全国的に注目・推進されているのが「コンパクトシティ」構想です。

本記事では、コンパクトシティとは?官民連携がどんな効果をもたらすの?という疑問について、具体的な成功事例やメリットを含めて詳しく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。

まちの課題とコンパクトシティ


近年、各地で再開発や地域振興の動きが見られ、同時にその地域の「まちづくり」へ力を入れる自治体・行政が増えてきました。

「まちづくり」とは”地域住民が快適かつ住み続けたいと感じる環境を作り、持続させることでその地域の魅力を高める取り組み”を意味します。 しかし、いま各地のまちでは主に下記3点の課題を抱えています。


・人口減少・高齢化による財源収入の低下

・過剰な郊外開発が進み移動が負担

・インフラの維持管理費の捻出が困難

これらの課題を解決し、新しいまちづくりとして各地で注目・取り組みを進めているのが、「コンパクトシティ」化です。


コンパクトシティと官民連携がもたらす効果



コンパクトシティとは?〜官民連携による新しいまちづくり〜


新たな「まちづくり」を行うための方法の一つとして、 「コンパクトシティ」が近年全国的に注目され、推進されています。

コンパクトシティとは文字通り、行政サービスや都市機能、生活に必要な施設、人などをまちの中心部へギュッと集約することです。
コンパクトシティの主な効果として

・充実した交通網により、利便性の高い公共交通機関利用で移動が可能

・買い物など生活サービスを利用する効率性アップ

などがあげられます。
公共交通機関での移動が可能になることで、高齢者や車を運転できない人も目的地へ向かうことができ、孤立してしまうことを防ぎます。

また、買い物なども小さな範囲の移動で済むため時短・効率的でタイムパフォーマンスが高いと言えるでしょう。


官民連携(PPP)が成功のカギ

コンパクトシティ化にあたって、自治体・行政側の力だけで行うには限界があります。
そのため、主役である地域住民たちの協働参加や、民間企業の柔軟な発想・力が必要です。

・住民一人ひとりがまちの課題を認識・共有し、ボトムアップ形式で積極的に行政へ声を届ける

・民間企業の視点ならではのアイデア・パワーを活用

こうした官民連携がコンパクトシティ化の成功に繋がります。
コンパクトシティはハード面(建物やインフラなど、物質的なもの)の整備だけでは決して完成しません。
ソフト面(人どうしの関わりやつながりなど、非物質的なもの)もしっかりと整備しながら、
行政・民間企業と住民の三者が手を取り合うことが大切です。

官民連携がもたらす相乗効果



官民連携によりコンパクトシティの形成を目指していくことで、自治体・行政、民間、住民の三者それぞれに相乗効果を与えます。

例えば、

【自治体・行政】
・インフラ維持管理費の大幅削減

・行政サービスの業務効率化(ワンストップ化が可能に)


【民間】
・空いている場所への出店、ビジネスチャンス

・地域への投資で企業イメージの向上と定着


【住民】
・移動や生活がより便利に

・高齢者になってもずっと安心して暮らせるまちに

などがあげられます。

より詳しく解説すると、
例1)インフラ維持管理費の大幅削減
郊外開発により各地に多数布設したインフラの維持管理費が膨大なため、今後のサービス提供が困難な可能性
→人、都市機能を中心部へ集約し管理の範囲を縮小することで費用と職員削減
民間企業のICTによる管理台帳のクラウド化で効率的な更新計画や情報管理が可能


例2)移動や生活がより便利に
これまでの買い物や医療サービスは郊外への車移動が前提
→バスやLRTなど公共交通機関により移動が可能に
高齢者だけでなく、家族連れも便利で安心なうえ、公共交通を運営する民間企業側も乗客を多数輸送できるため効率的
将来的に技術を生かし、まちの中での自動運転車などモビリティの発展も期待

これらの効果が期待されます。

また、今後、まち全体の安全性と価値を高めるために無電柱化も重要です。
自治体・行政が無電柱化を推進し、電線管理者となる民間企業とうまく官民連携を進める事でより快適なコンパクトシティ化につながるでしょう。

官民連携によるコンパクトシティの成功事例



いま、各地でコンパクトシティ化への取り組みが進んでいます。
例えば車移動から公共機関の利用へと転換していくには、それぞれの利用状況や地域による利便性の違いなど、住民へのアンケート調査や聞き取りが重要です。

また、その結果を反映し増便、ルートの見直しなど、鉄道、バスなどを運行する民間会社との調整、

つまり官民連携が必要不可欠になります。

これらを行いながらコンパクトシティの先がけとして成功をおさめモデルケースとされた、富山県 富山市および現在計画進行中の熊本県 熊本市の成功事例をご紹介します。

富山県富山市のLRT活用

車通勤が8割を超える富山市では、公共交通の利用者減少による衰退や行政コストの増大、高齢化への対応に危機感を持っていました。
これを受け、2005年頃から「公共交通沿線への都市機能と人口の集約」を目指しコンパクトシティに着手しました。

2006年にはJR富山港線をLRTに転換し、公設民営に基づく上下分離方式で事業を推進しました。
また、市内電車も環状線化することで中心地の活性化を図りました。

その結果、LRTは通勤利用の50代が、市内電車は買い物や観光目的の高齢女性が多く利用していることが後の調査で判明し、目的別の利用も定着したのです。

方針の実現や取り組みの成果が評価され、富山市は全国的なモデル都市とされています。

熊本県熊本市の公共交通機関の再整備計画

熊本市ではバス利用者が1975年から2019年にかけて約4分の1に減少し、
自動車の利用者が増えている要因の一つとして、利用する際運行範囲の不便さや運転士不足などが課題となっています。

高齢化が進む中で、公共交通の再整備は重要であり、官民連携を図り鉄道やバス、乗り合いタクシーを活用して移動手段の確保を進める必要があります。

2009年の都市マスタープランでは、公共交通が使いやすい地域への移住促進により、
2025年度までにコンパクトシティを実現することを目指しています。

まとめ

コンパクトシティ化はただ中心地へ集約させることではなく、住民みんなの生活が暮らしやすく快適になることで、完成といえます。

そして、その快適な暮らしを持続し続けることが重要です。
そのためには、まず自分が住むまちの実情を知り、何をどのように変えていきたいかビジョンや意見を持つことが大事です。


パブリックコメントの意見提出やワークショップ、説明会参加、SNSでまちの情報を発信したりすることも、私たち一住民の行うことができる第一歩です。
これらの活動に私たち一人ひとりが積極的に取り組むことが重要です。
まず、できることから始めてみましょう。

また、コンパクトシティの効果をより高めるには「無電柱化」が非常に重要な役割を果たします。


例えば、下記3点の効果が見られます。

・電線共同溝に電線類を集約することで維持管理が容易
※詳しくは、電線共同溝について紹介したこちらの記事をご覧ください

・道路・歩道空間が広がって利用が快適に

・電柱が倒壊するおそれが無いため災害リスク低減


メトロ設計では都市機能の集約に対応した多様な業務を行っています。
無電柱化に伴う電線共同溝設計や、道路・歩道空間の設計などを通じ、実績と信頼を築き上げてきました。

無電柱化(電線共同溝)や道路に関する他の事例集はこちらをご覧ください。↓


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長年の知識を生かしたマネジメントで、住民の方と施工事業者との架け橋となるような、建設コンサルタントを目指しています。
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