地下連絡通路接続時の設計ポイントと合意形成のプロセス | 東京駅再開発(丸の内・八重洲) を実例紹介
天候の影響を受けず、直結された目的地まで快適に移動する事ができる地下連絡通路。
しかし、私たちが当たり前に通行する地下通路の接続には様々な問題・調整を重ねた膨大なエネルギーが費やされているのです。
はじめに
東京駅周辺の都心部エリアでは、盛んな再開発に伴い、多くの地下連絡通路が張り巡らされています。
周辺駅や近隣施設と地下で直結させる通路工事は、「便利」だけを目指しているのではありません。
テナント誘致や防災機能向上など重要な役割を持ち、都市の経済や機能を拡張させる壮大なインフラプロジェクトです。
丸の内エリアにおける駅コンコースとの直結や、 八重洲ミッドタウンでのバスターミナル接続などはその有効性を表す代表例と言えます。
しかし、このような地下空間の完成には、数多くの厳しい現実問題が待ち受けています。
再開発や基本計画、基本設計段階などにおいて地下接続を検討し始めたデベロッパー様 / 設計ご担当者様、プロジェクトでこのような問題につまずいたり、悩んでいませんか?
・地下連絡通路で欠かせない設計ポイントを知りたい
・輻輳する埋設管が支障をきたす
・数多くの関係者と権利が絡んでいて複雑そう…
地下プロジェクトは技術的な設計難易度はもちろん、「合意形成の複雑さ」がボトルネックとなります。
本記事では、地下インフラ設計の専門家としての視点から、東京駅周辺の再開発事例を紹介・解説します。
地下連絡通路設計プロジェクトを成功に導くための「設計ポイント」と「合意形成の重要性」についてお役に立てれば幸いです。
お困りごとはまず、メトロ設計にご相談ください。
地下との接続時に直面する課題と当社での強み|東京駅周辺事例2選
地下連絡通路は、「通行」から「滞留・防災・交通」の役割へと進化しています。
近年、再開発が行われている丸の内・八重洲エリアで大規模な接続が実現していますが、これらは「ただ繋ぐだけ」の工事ではありません。
近隣や構内の商業施設へ直結させる事で回遊性や経済を大きく変化させる重要な効果があるのです。
「丸の内コンコース」と「八重洲ミッドタウン(バスターミナル)」という代表的な事例を取り上げ、各エリアでの技術的な課題、ポイントや、メトロ設計ならではの強みがどう活かせるかを解説します。
事例1:丸の内エリア|既存構造物による制約とリスク
歴史ある駅舎や、既存の地下鉄コンコースへの接続。このエリアは、新設工事と異なりミリ単位の精度が求められます。
この事例での最大の課題は、「新・旧構造物の混在」と「不確定な地中埋設物の存在」です。
※地中埋設物に関する記事は、こちらをご覧ください。
埋設物調査(地中埋設物調査)とは?│調査方法から撤去まで詳しく解説
【直面課題】
・新・旧躯体の接続リスク:沈下収束(地盤沈下が停止し、安定した状態)済みの古い躯体(駅舎側)と、今後沈下する新しい躯体(新設通路)を接続するため、不等沈下によるクラック・漏水のリスクが懸念されます。
・厳しい高さ制限:地下にはガス、水道、電力、通信など、地下インフラが輻輳しています。
地下で通路としての天井高を確保しようとすると、これら既存インフラとの接近が数センチ単位となるため、梁を通すスペースすら確保できないケースが多発します。
【当社が活かせる強み】
・構造計算: 応力や耐荷重など重要な構造計算の正確性。
構造一般図、配筋図、各種詳細図などの設計図を作成し、図面に沿って部材などの計上・決定をスムーズに進めています。
・BIM/CIM活用による可視化設計 :平面図では見落としがちな配管ルート・躯体との干渉を3Dモデルで可視化、干渉チェックを行います。
設計段階でリスクと手戻りをゼロにし、特殊な梁の採用やルート変更など、確実な設計を提案します。
※BIM/CIMの詳しい解説と活用事例はこちらをご覧ください。
【図解あり】BIM/CIMとは?言葉の意味・メリット・活用方法を初心者向けにわかりやすく解説
BIM/CIM活用事例|現場の生産性を上げた成功事例と取り組みについて紹介します
事例2:八重洲エリア | ステークホルダーと権利が絡み合う調整ステップ
八重洲エリアでは、日本最大級のバスターミナルを含む大規模開発が行われました。
このエリアでの課題は、地下にバスターミナルを作り交通の要所とする構造難易度の高い工事に加え、「ステークホルダーの多さ・権利の複雑さ」となっています。
【直面課題】
・膨大な回数の協議調整: 道路管理者(国・都)、鉄道事業者、警察、周辺地権者など、調整先が多岐にわたります。
「誰の許可を、どのような順番で取るか」を確実に行う必要があり、間違えると許認可で数年の遅れが生じかねません。
【当社の強み】
・支障移設問題の最適化: 上下水道、ガス、電気通信などの地下インフラを、機能を止めずにどう移設・防護するか最適な方法で提案
・円滑な合意形成:各管理者が懸念するポイント(構造安全性、施工時の交通影響など)を過去の豊富な実績によって熟知しています。
電柱にケーブル類を添架している企業と新規に参入する企業などの要望を取りまとめ、地下の管路に収容する素案を提示し合意を得るなど、調整会議を実施。
質問に対して明確な回答を用意し、手戻りのない最短ルートでの合意形成をサポートできるように進めます。
地下連絡通路プロジェクト設計 成功のためのポイント
地下連絡通路の設計において、最も神経を使うのは「安全性」です。
例えば地震による空間の崩壊や浸水被害など、地下ならではのリスクも考えなければいけません。
また、接続工事をする際には既存埋設物がどのように輻輳しているかを確実に把握しなければ事故に繋がります。
特に、丸の内や八重洲のような再開発エリアでは、新設の通路だけ安全性を確保すれば良いわけではありません。
既存の駅舎・躯体、新しい高層ビル、共同溝など、全く異なる特性を持つ構造物同士を「どうやって安全・機能的に繋ぐか」が、プロジェクトの成功・失敗を分ける最大のポイントです。
地下通路を安全に保つ耐震設計
接続通路の設計において、人々が安全に通行するために避けて通れないのが耐震設計です。
地震が発生した際、接続するビルや駅の階層、基礎の違いにより通路は大きな影響を受けます。
例えば、Aビル(超高層・杭基礎)とB駅(低層・直接基礎)、それを繋ぐ地下通路は、それぞれ全く異なる揺れ方をします。
この揺れ方の違い(=挙動差)・ズレを吸収できなければ接続部分に過剰な力がかかり、躯体のひび割れや破断、最悪の場合には崩落を起こします。
通常のビル設計とは異なり、地盤の変位を考慮した応答変位法や動的解析を使用して、地震時の揺れを吸収するエキスパンションジョイントの適切な選定が欠かせません。
また、特に地下空間において「漏水」は致命的です。
わずかなひびであっても地下水が浸入すると通路としての機能を失い、電気設備の故障など甚大な損害を引き起こします。
これらのように、最悪の事態を起こすリスクがあるため、耐震設計が地下通路全体を安全に保つための重要なポイントとなります。
既設埋設物の輻輳はBIM/CIMで可視化
道路下には、図面には載っていない古い配管が存在することも珍しくありません。
工事を行う際に事故が起きないよう、埋設物が存在するか不明な箇所や、近接している箇所は試掘調査を行い明確にします。
従来の平面図では輻輳している埋設物が設計上で干渉するかが不明確な場合には、実際の工事が始まってから判明、中止や緊急の連絡など、プロジェクト全体が大幅な手戻りとなります。
加えて、費用も莫大な追加がかかるというリスクを抱えていました。
しかし、近年では3次元のBIM/CIMを用いてモデリングの動きが主流であり、可視化によって干渉チェックやスピードアップが可能になりました。
また、可視化する事で会議における協議資料としてそのまま使えるだけでなく、説明が一度で通りやすく理解を得やすいという大きなメリットになります。
これにより、手戻り・追加検討の必要性が軽減できるでしょう。
メトロ設計では、BIM/CIMを活用して設計初期段階から手戻りゼロの設計を行っています。
プロジェクトの難所| 「調整会議」と「近接施工協議」の合意形成プロセス
技術的な問題以上に、プロジェクトを停滞させる要因が「関係者間の調整会議」「近接施工協議」による納得できる合意形成です。
地下連絡通路を接続するためには、道路法、建築法の適用や鉄道事業用地など細分化している関係者や権利を跨ぎます。
そのため、各関係者の合意を得られなければプロジェクトを先に進める事ができない難所と言えます。
エビデンスが鍵| 関係者間との「調整会議」
前述した関係者として該当するのは、例えば
・道路管理者(国・自治体)
・鉄道事業者(※「近接施工協議」も別途必要)
・埋設物管理者(インフラ企業)
・周辺地権者
が挙げられます。
多くの関係者を取りまとめて合意形成を行うには、膨大な回数の「調整会議」が必要です。
調整会議では単に意見を折衝するだけでなく、技術的なエビデンスを提示し「この案なら全員にメリットがある」と納得してもらえる事が円滑に進むポイントです。
メトロ設計では、豊富な知識と経験を活かし、都市部のように複雑に輻輳する埋設物を迂回したルート設計や工法変更などの考案や資料作成を行っています。
難航しがちな調整会議においても、明確な技術的エビデンスを提示することでスムーズな合意形成のサポートが可能です。
関係者全員が納得し、プロジェクトを加速化させるための合意形成のサポートはメトロ設計にお任せください。
理由3選 | 鉄道事業者と行う「近接施工協議」の必要性
鉄道事業者とは調整会議のほか、「近接施工協議」の実施も必要です。
※近接施工協議の詳しい内容についてはこちらの記事をご覧ください。
鉄道近接工事(近接施工)について
プロジェクトにおいて近接施工協議が必要な理由は主に3つあります。
・工事により地盤と構造物の挙動変化が生じるため
地下での掘削は、周囲の地盤に必ず物理的変化を起こします。
土を取り除くと周囲の土が隙間へ動こうとするため、近接する既存のトンネルや建物の基礎・杭が引っ張られたり、曲がるリスクがあります。
特に鉄道のレールは絶対にズレが許されないため、工事の影響が許容値内で収まるか事前に解析やシミュレーションで証明する必要があります。
・鉄道施設や関係物を機能維持するため
構造物が壊れなくても、「機能」を損なうと重大な事故に繋がります。
地盤の変位によってレールの水平や高さが狂う可能性があり、最悪の場合脱線事故を起こします。
また、万が一埋設物が工事の影響によって動き、接手が外れた場合、ガス漏れや断水など都市災害となります。
機能維持を行っていくには近接施工協議が欠かせません。
・法律上で協議実施が定められているため
鉄道事業法では、トンネルなど鉄道施設の保全区域内で工事が行われる場合には事業者の許可を得る事が必要と定めています。
鉄道事業者では乗客や資産を守るため、厳しい管理基準値を設けているのです。
もし工事中に相手の施設を損傷させた場合、協議を経ていないと過失責任を問われ、莫大な損害賠償が必要となります。
技術的な安全チェック、インフラの機能維持、そして法律上の決まりのすべてを満たす事で、プロジェクトは着実な遂行が可能となります。
メトロ設計では解析やシミュレーションを行い、応力や構造計算の精度が高い設計を行っています。 通路、利用者の安全性を担保するためにリスクを減らす設計を常に意識し実施しています。
まとめ
地下連絡通路は、一度作れば半永久的に使い続ける事のできる資産です。
東京・丸の内や八重洲など、都心部の複雑な条件下での設計ノウハウやポイントは、規模の大小に関わらずすべての通路接続プロジェクトで応用可能です。
本記事でご紹介した通り、地下連絡通路の設計は、一筋縄ではいきません。
だからこそ、そこに投じられる設計技術の質がプロジェクトの成否の分かれ目となります。
適切に設計された地下通路は、天候に左右されず人々を安全に建物へと導き、テナントの収益性を上げ、街全体の回遊性を劇的に向上させます。
一方で、不十分な調査や設計のまま進めば、地震や漏水トラブル、耐震問題などのリスクを将来にわたって抱えることになります。
メトロ設計の建設コンサルタントとしての使命は、ただ淡々と図面作成や設計を行うだけでありません。
デベロッパー様や関係者の皆様が描く都市のビジョンを、既存のものへ改良を重ねる土木の技術で支え、未来へ実現させるためのパートナーとして伴走いたします。
【地下構造物の設計・協議でお困りのデベロッパー様・設計事務所様へ】
当社は、地下インフラ設計に特化した建設コンサルタントとして、数多くのプロジェクト現場計画・設計を支援してまいりました。
「計画中のビルと駅をつなぎたいが、埋設物が支障になりそう」
「鉄道近接協議のための解析資料が必要」
「道路占用許可の手続き等を含めて設計を依頼したい」
このような課題に対し、初期検討から詳細設計まで一貫してサポートいたします。
自社に類似の実績がない場合でも、まずは一度ご相談ください。専門技術者が最適なアプローチをご提案します。
メトロ設計では、専門のスタッフが丁寧に対応し、最適な解決策をご提案いたしますのでお気軽にお問い合わせください。
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長年の知識を生かしたマネジメントで、住民の方と施工事業者との架け橋となるような、建設コンサルタントを目指しています。
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