無電柱化加速化戦略 ~目指せ!整備ペースアップ~

カテゴリ: まちづくり 無電柱化
公開日 2023.8.17
更新日 2023.8.18

さて、これまでは無電柱化する事のメリットやデメリット、また東京都や国土交通省がそれに対してどのような動きをしてきたのかを取り上げてきました。
前回(東京都と国土交通省の動き)でご説明した通り、東京都では令和3年に「無電柱化加速化戦略」を制定し、主に下記の4点をポイントとしています。

  1. 執行体制の強化、都道・臨港道路等のスピードアップ
  2. 区市町村への支援強化
  3. 民間開発への取り組み強化
  4. 技術開発の促進による、コスト削減・技術的課題の克服

令和元年度末時点において、センター・コア・エリア(※おおむね首都高速中央環状線の内側エリア)の無電柱化はほとんど完了しているものの、現状のペースのままでは都道全線での整備完了は2060年代ごろになると見込まれています。
そのため、重点整備エリアを環状七号線の内側エリア(黄色部分)に拡大し、整備を進めることによって2035年度(都道全線では2040年代)の完成を目指すとしています。

環状七号線の内側エリア
(出典:無電柱化加速化戦略 図Ⅳ-3 環状七号線の内側エリア)
そのためには年間あたりの整備ペースを倍増させる事が重要です。特に23区部・多摩地域での都道の整備が重要とされ、整備ペースを令和2年度:25km/年 から 令和7年度:50km/年 へと倍増を目指していきます。

1.執行体制の強化、都道・臨港道路等のスピードアップ

既存の道路内に電線共同溝整備をする場合、地下埋設物の支障移転(支障移転(支障移設)に関して)を行う必要があるため工期・コストの増加が大きな課題となります。

そこで電気・通信事業者が所有している管路・マンホール等を電線共同溝の一部として使用する「既存ストックの活用」によって、支障移転を回避できます。
加えて本体・引込管等の工事の一括発注が可能になるため、工期・コストの削減につなげることができます。

2.区市町村への支援強化

これまで東京都では平成20年を始めとして、下記の3つの補助制度を行ってきました。

  • 平成20年 区市町村道の無電柱化事業に対する補助制度(通常補助)
    対象地:センター・コア・エリア(重点整備エリア)内の主要駅や観光地周辺

  • 平成27年:防災に寄与する路線 の補助率拡充
    対象地:緊急輸送道路や、都道での無電柱化との連携箇所等

  • 平成29年 無電柱化チャレンジ支援事業制度
    対象地:歩道2.5m未満もしくは歩道が無いため、地上機器の設置が困難な路線
    (※要件を満たした場合のみ)

これまでの工事費の補助に加え、設計費等も半分を対象とするなど、更なる財政支援の強化を行う事で、都道だけでなく区市町村道と連携した無電柱化整備を進めていく狙いです。
特に無電柱化チャレンジ支援事業においては、補助金の割合が大変大きいため、多くの区市町村が積極的に活用する事で、無電柱化への取り組みを進めることに繋がります。

区市町村に対する財政支援
(出典:東京都無電柱化計画(改定) 表4-2 区市町村に対する財政支援)

3.民間開発への取り組み強化

無電柱化整備を土地区画整理や市街地再開発等に合わせて行う事で、既存道路で新たに整備をした場合と比べて工期・コストを削減し、効率的に行う事が出来ます。しかしその一方、宅地開発等、民間業者による開発では無電柱化に対する知識・経験不足や、負担コストの大きさから積極的に取り組む事業者が少ない状況です。
また、都内では毎年約700件行われている宅地開発によって電柱が新設される場合も多く、東京都では令和2年に「宅地開発無電柱化パイロット事業」を制定しました。これは、島しょ部を除いた都内において、民間業者が許可を得て行う宅地開発(住宅用途)の際、公道・私道の新設に合わせ、無電柱化に係る設計費・工事費等を東京都が補償するものです。
その他、区市町村や電線管理者等と連携を強化し、無電柱化の義務化へ向けて意見調整をする機会を設けていくとしています。

4.技術開発の促進や、コスト削減・技術的課題の克服

東京都では、平成29年度にコスト削減に向けた技術検討会を設置し、これまでに下記のような低コスト手法への取り組みや開発を通じて、道路管理者・電線事業者との連携・技術検討を行ってきました。

これまでの取組
(出典:東京都 無電柱化加速化戦略 表Ⅳ-6 これまでの取組 より)
このように管路材料を変えたり、埋設深さを改定し従来より浅くする事など、様々な工夫と取り組みを行ってきた結果、平成30年に策定された「東京都無電柱化計画」内では「整備コスト 1/3カット」を10年後の目標としていましたが、令和2年度に道路管理者分の1/3コストカットを達成しました。
技術開発によるコスト縮減
(出典:東京都無電柱化計画(改定) 図 4-44 技術開発によるコスト縮減 より)
しかし、電線管理者負担額は変わっていないため、今後はこの負担額を削減する必要があります。

では、その負担を軽減するためにどのような事を行っているのでしょうか。次回はその取り組みについてご紹介します。

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